◆問題と向き合うことを諦めない
――国会ではLGBT理解増進法案をめぐり議論がおこなわれています。セクシュアルマイノリティが安心して過ごせるために、行政に求めることはありますか?
茂田:セクシュアルマイノリティへの「理解増進法」ではなく「差別禁止法」が必要だと訴える人がいる一方で、「差別が禁止されれば、男性が女湯に入ってきてしまう」といったデマも流れています。なので行政が正しい情報を発信したうえで、法整備が行われてほしいです。
当事者は大人だけではなく子どもにもいます。ネット上にあるデマや心ない発言を目にして傷つく子どもたちがいるのも事実です。大人たちの間で騒がれていますが、そこには子どももいることを知ってほしいと思います。
長村:「差別」という言葉を使うだけでバッシングされる世の中になっていますよね。最近、その理由を考えていたのですが、「今までは許されてきたのに、何もコミュニケーションが取れなくなる」「明確なルールがわからない」など、自分がいつ加害者になるかわからないことへの恐怖心を抱いている人が多いように感じました。
どんどん言葉と人の間に距離ができているように感じますが、人それぞれ違うフィルターをもっているだけなので、「加害者」「被害者」という対立構造では考えられないのかなと思います。それよりも、いかに一緒に考えて問題を解決していけるかが重要ですし、それを周りの人にも諦めないでほしいです。
<取材・文/Honoka Yamasaki>
【Honoka Yamasaki】
昼間はライターとしてあらゆる性や嗜好について取材。その傍ら、夜は新宿二丁目で踊るダンサーとして活動。
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