■雨の日に車から出たくないんだ
だいぶ身体も弱ってきた雨ちゃんの専属運転手として健気に働く市役所職員・司さん(白洲迅)は、今日も今日とて雨ちゃんをママが入院している病院に送り迎えしています。ご自慢のフォルクスワーゲンは快調そのもの。花火大会が始まる18時30分には会場に送り届ける予定です。
しかし帰路、ゲリラ豪雨に交通事故が重なり、市内までの道は大渋滞。このままでは花火に間に合いません。どうしてもあきらめきれない雨ちゃんは、車を降りて「走る」と言い出しました。もう階段もまともに下りられないくらい弱っていて、外はどしゃ降りですが、残り5kmを「走る」と。
司さんは以前、こんなことを言っていました。
「司(つかさ)という名前には傘(かさ)が入ってるんだ。僕は雨ちゃんの傘になりたいんだ」
今こそ、傘になるときです。昔はサッカー選手を目指していた司さんですから、体力も十分です。雨ちゃんを背負って走れ、司!
と思ったんですが、司さんは車から降りません。雨の降りしきる歩道に降り立ってヨロヨロと走り出した雨ちゃんの背中をエアコンの効いた車内から見送ると、知り合いの女に電話をかけて「おまえが出てきて支えろ」と言います。まあ、雨だしな。濡れたくないのはわかるけど、傘になりたいんじゃなかったのかよ。信用できない。