◆辛くてもくじけなかったワケ

――それはつらい経験ですね。

辛くてもくじけなかったワケ
小住「ツテもないので、自分が食べておいしいと思ったお店に頼みこんで見習いをしながら生活をしていました。朝はチョコレート屋さん、昼はパン屋さん、夜はケーキ屋さんというように掛け持ちです。スタートが22歳とおそかった分早く一人前になりたくて、フィナンシェのお店でフィナンシェが作れるようになったら次はマドレーヌのお店で修行、などお店も転々としました。それらの修行を経て最終的にミシュラン2つ星レストランの副料理長になって、デザートを任されるようになったんです」

――辛い時期に小住さんを支えていたものはなんだったんでしょうか。

小住「『22歳の自分の決断を超える』という気持ちだけだったと思います。まわりの反対を押し切ってパリに行くと決めた自分を超えたかったし、あのまま日本で就職していた自分よりもっと幸せになろうと思ったんです。その気持ちがパリでの心の支えになりました」