元配偶者が再婚して養育費を減額した場合、差額は返すべき?

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養育費を支払っている元配偶者が再婚すると、元配偶者自身が養育費の減額や免除を求めることになります。この場合は、再婚後すみやかに養育費の減額や免除を申し入れてくることが多いでしょう。

その結果、養育費が減額になった場合、それまで受け取ってきたもともとの養育費の金額と減額した金額の差額分を、元配偶者が再婚をしたときに遡って返さないといけないのでしょうか。

答えは「ノー」です。養育費を減額すべき事情が生じたのは元配偶者が再婚をした時点になるはずですが、実際のところは再婚をした元配偶者が養育費の減額や免除の請求をしてきたとき(一般的には養育費減額の請求の調停申立をしたとき)からの変更という扱いになるのが通常でしょう。そのため、それまで受け取っていた養育費について返還する必要はないといえます。

再婚を隠していたとき、養育費はどうなる?

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離婚するときに公正証書を作ったなら、養育費の支払いや面会交流など、特に子どもにかかわることで連絡をとる必要がある場合を想定して、勤務先や住所が変わったら速やかに連絡するという約束の条項を入れることが多いでしょう。

ただ、「再婚についても伝える」という取り決めをしていない限り、わざわざ伝えないでしょうし、仮に条項を入れていても隠して再婚することもありえます。

ただし、再婚したことを元配偶者に伝えなかったからといって、ペナルティが発生することはなく、養育費が自動的に減額・免除になるわけではありません。

しかし、子どもと元配偶者が面会交流していると、子どもの口から再婚したことが伝わることがよくあります。知り合い経由で伝わることもありうるでしょう。隠してもどこかで再婚をした事実が元配偶者に伝われば、養育費の減額や免除の申し入れがあるかもしれないということは頭に入れておきましょう。

子どもにとってベストの選択をすることが大事

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養育費は子どもが健全に成長するために充てられるお金です。特に中学生・高校生になると教育費がかかるようになるため、養育費を受け取る側からすると、子どもが小さいうちからできるだけ多く養育費をもらい続けたいという気持ちを持つのが自然でしょう。

ただ、最近では、学費や医療費などについては行政の支援も受けられることもあります。こういった制度の利用も考えつつ、子どもにとって負担にならないように、元配偶者とも協力できる範囲で養育費を分担し、ともに子どもの成長を見守ることができる環境づくりが大事になってくるでしょう。

文・片島 由賀(弁護士)/DAILY ANDS

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