再婚後、養育費の減額・免除を求められたらどうする?

(写真=PIXTA)

前述の通り、自分が子どもを連れて再婚し、再婚相手と連れ子が養子縁組をした場合に限らず、元配偶者が再婚した場合にも養育費の減額・免除の話が出てくる可能性があります。

この場合は、まずは折り合いがつくか話し合いをすることになります。話がうまくまとまりそうな場合、離婚の時に公正証書を作っているなら、再度新しい内容に基づいた公正証書を公証人役場で作ってもらう必要があります。逆に、話し合いがうまくまとまらない場合は、裁判所での調停手続きや裁判官が判断をする審判手続きによることになります。

養育費の金額は、家庭裁判所の実務上、「養育費算定表」という表を使って決めることになるケースが多くなっています。

養育費算定表は、(元)夫婦双方の実際の収入(手取りでなく総支給)を基礎にして、税金や給与所得者が仕事をする上でかかる必要経費、住居費、医療費などの標準的な割合を引き、これに支払う側・受け取る側・子どもの標準的な生活費を指数化して按分して作成します。

養育費算定表については、インターネットでもみることができるので、お互いの収入をきちんと出し合って、それに基づいて計算すればおおよその養育費の金額を算出できます。

ただ、たとえば元配偶者の再婚相手に現在収入がなくても、実際に働ける事情があれば、働けば得られる(潜在的稼働能力といいます)収入はいくらか、育児休業の場合は復帰後の収入はどのくらい見込めるか、これらを踏まえて、元配偶者が支払える養育費の金額をみていくことになります。収入について推定しなければならない場合は、折り合いがつかないと、話し合いだけで養育費の金額を決めるのは難しいでしょう。

また、それぞれの再婚後の家庭の経済状況に伴う感情的なもつれから、話し合いができないこともあります。その場合は、家庭裁判所での調停や審判の手続きを利用することになります。

調停になったときは、先の養育費算定表に基づき、お互いの収入、あるいは再婚相手がいればその人の収入も踏まえて養育費の金額について折り合いがつくよう話し合うことになります。話し合いで調停を成立させることができなければ、裁判官が双方の家族の収入に関する資料などを踏まえて判断する、審判手続きで決めることになります。

なお、養育費の免除については、「ご自身が引き取った子どもが再婚相手と養子縁組をした」という事情や、「養育費を支払っている元配偶者が再婚して扶養する家族が増えた」というだけで認められることは難しいでしょう。「元配偶者がリストラされて収入がなくなった」「病気になり働けなくなった」というような事情がある場合は考慮されることになります。

ただ、元配偶者が再就職したり、職場復帰したりすると、そのような状況が解消する可能性があります。そのときを見計らって、今度はご自身が元配偶者に養育費の増額を求めるかどうか、再度検討するとよいでしょう。