逆にいうと、その手の密教系の呪詛に長けた僧侶たちには、真言宗の開祖・空海などの名があげられ、彼らには陰陽師が研究してきた天文学などの知識もありましたから、陰陽師たちの仕事は僧たちに取られてしまいました。陰陽師の影が平安時代以降、急速に薄くなった理由のひとつです。
しかし、ドラマでは陰陽師のオカルティックな側面が描かれていくことでしょう。オカルトといえば、ドラマの道長はまだ三郎ですが、次兄の道兼が成人した三郎こと道長の諱(いみな)を足の裏に書いて踏んづけていたという逸話なども出てきそうです。これは気軽にできるにせよ、呪詛のひとつでしたし、道長と安倍晴明のつながりも深く、道長がとある政敵を陥れるために、「呪詛をかけられました!」と訴え出たことに晴明が協力したこともありました(これもドラマに出てくると思います)。
本格的な呪詛に関わった事実が発覚すると、身分が高い者でも失脚するほどのタブーだったのですが、そこいらかしこで呪詛の類が飛び交っていた平安時代において、やはり個人情報の漏洩を恐れる気持ちは現代以上に強かったはずです。そういう情報が呪術の成功確率をあげるには必要だったからです。紫式部ほどの有名人でも、本名などの基本的な個人情報が後世までほとんど伝わっていない理由は、そのあたりにもありそうですね。
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