◆「大人たちに助けられたけど、川はトラウマです」
「僕の顔が一気に悪くなったみたいで、小刻みに震え出したらしいんです。『らしい』というのは、そのあたりの記憶がぼんやりとしていて、あんまりなくて。もう笑顔を作る余裕もなくて、身動きがとれない深さのところで、流されないように砂利の中に手を突っ込んだり、草を引っ張ったりするしかなかった。
友人たちもらちがあかない状況に『ヤバい』と思ったのか、一人が大人を呼びに行ってくれました。そのあとはうろ覚えだけど、大人の人たちが何人か来て助けてくれました。もう川はトラウマです」
海や川などの水辺では、予想外の事故の危険性がいたるところに潜んでいます。このような水難事故の原因やデータ分析を行っている公益財団法人 河川財団は、水辺の事故を防ぐための「水辺の安全ハンドブック」を作成・公開しており、無料でダウンロード・印刷することができます(最新版は7月公開の2023年版)。
また同団体は、過去およそ20年間に川や湖沼などで発生した水難事故のうち、報道などから把握できた3,098件の河川等水難事故の内容と事故発生地点の位置情報を表示した「全国の水難事故マップ(川の水難事故マップ)」も公開しています。
尊い命がこれ以上犠牲にならないよう、リアルタイムの情報収集とリスクを回避する方法を、今一度事前に相談してみてはいかがでしょうか。
<取材・文/赤山ひかる イラスト/ズズズ@zzz_illust>
【赤山ひかる】
奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。