◆底の見えない深みから、氷のような冷たい水が

すでに10分以上、首から下が水の中に浸かりっぱなしの状態。体は冷え切っていましたが、実はさらに最悪の事態に襲われていました。

「友人にひっぱってもらった僕はその時点で“足がつくかつかないかくらいの深さ”の場所にいたんですが、背後はさらに底が見えないくらいの深みがある場所でした。

木や岩の影で薄暗かったですが、本当に川底がその場所だけ真っ暗で見えないんですよ。直径2メートルくらいの広さだったと思います。その深いところから、真冬の公園の水道水くらい冷たい水が、ゆっくりじわじわと、僕の体を駆けのぼってくるような感覚に襲われていました。あの感覚は、本当に今思い出しても気持ち悪いです……」

冷たさと同時に、体の感覚も徐々に失われます。