しかし、どちらにしても、第二次トランプ政権が日本にとって好ましい政権になるとはとても私には思えないのだが、ポストはそうではないという特集を巻頭でやっている。

 あまりペシミスティックに考えるよりも、こうした楽観的な考え方があるということも知っておくのはよいことなのかもしれないので、紹介してみよう。

 トランプは選挙中から、自分が大統領になれば、ロシアとウクライナの戦争ストップすることができるといっていた。

 ポストで、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣がこう語っている。

「40年ぶりの世界的なインフレは、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに起きたわけです。欧米がロシアからの石油、天然ガスの輸入をストップし、小麦の大産地であるウクライナは戦争で輸出が難しくなりました。それが停戦や休戦に向かうとなれば、エネルギーや食料の価格が落ち着いて、関連産業が活性化する可能性があります。
現実的には、停戦になったからといって、欧米諸国がロシアの経済制裁を即解除することはないでしょう。しかし、市場は先読みして動きます。戦争・紛争のエスカレーションの懸念がなくなれば、価格は落ち着く展開があり得ます。制裁もゆくゆくは緩和に向かうという期待が出てくるからです」

 世界一の金持ちイーロン・マスクがトランプの選挙に熱中している間に、テスラの業績に陰りが見えてきたという。

 自動車業界に詳しい経済ジャーナリストの福田俊之がこう語る。

「これまでEVはテスラの独壇場で市場を席巻してきたが、世界的にEV 市況が鈍化し、中国メーカーも台頭してきた。昨年の第4四半期のEV世界販売台数では、中国のBYDが首位となり、ついにテスラの牙城が崩れたのです」

 そうしたことはEVで出遅れた日本の自動車メーカーにとって好機だとも見られているようだ。

 福田が続ける。

「米国では、EVの需要が落ち着き、日本メーカーが強いハイブリット(HV)の評価が高まっている。燃費が良く、環境負荷も低いし、EVと違って充電時間がかからないといった利点があるからです。すでに米国市場はHVの販売台数がEVを再逆転した。日本メーカーにはテスラや中国が先行したEV市場が頭打ちになっている間に、HVで稼ぎながら、次世代の車を生み出す時間的猶予ができたわけです。各メーカーは、効率の良い全個体電池の開発に力を入れているし、特にトヨタはEVや燃料電池車、水素エンジンなど多角的に次世代車の開発を進めている。今は次世代車で一気に市場の先頭に立つ千歳一遇のチャンスといえるでしょう」