そうなれば、松本側が「物的証拠はない」といい張っても、松本の愚かな行為は規定事実となり、2度と茶の間のテレビに復帰することはできないと考えたのであろう。

 全面降伏といっていい。

 その上、告訴から1年も経たないうちに、松本がいなくても、彼の冠だった番組も回り、松本人志という存在は急速に「昔話」になっていくのを見ていて、松本は、「こんなはずではない」と焦りを強くしたのであろうことは想像に難くない。

 松本はテレビで見ると外見、物言いが“ちょいワル”なイメージだが、本性はネクラの小心者であろう。それは、文春が書きたてたとき、会見を開かなかったことからも透けて見える。

 不倫がバレたお笑い芸人には、会見を開けといっていたくせに、自分のこととなるとからきし意気地がなかった。

 会見を開き、自分の悪行を笑い飛ばし、謝罪すれば、イメージは傷つき番組は減っても、まだテレビの隅っこには残れたかもしれない。

 だが、このような終わり方をすれば、誰もが、文春が報じたことの多くは事実だったと思うに違いない。ケリの付け方としては最悪だと思う。

 ジャニー喜多川のジャニーズジュニアへの性的虐待問題と同じように、企業が一番嫌がるのはこうした性的スキャンダルである。

 テレビの現場は視聴率さえ取れれば、殺人犯でも何でも出したいが、CMが入らなくては元も子もない。

 和解声明文が出された時、松本は年内か新年早々の復帰を考えて、この時期に発表したなどというバカな見方をするメディアもあったが、とんでもない。

 まだ、スポニチ(11月10日付)が報じた“復帰”の可能性のほうが高いだろう。

「早期の芸能活動再開を望んで裁判を終わらせた松本。3月下旬の第1回口頭弁論を前に発表した『一日も早く、お笑いがしたいです』のコメント通り、年明けの復帰案が浮上している。テレビ局関係者によると、番組ではなく劇場への出演。最有力とされるのは、所属する吉本興業が運営する大阪市のなんばグランド花月(NGK)で、ダウンタウンとして浜田と観客を前に漫才をするプランだ。同関係者は『吉本と浜田さんらで話し合いをしている』と明かした。
松本は東京進出後も、節目節目でNGKのステージに立っている。2012年4月の吉本興業100周年記念公演『伝説の一日』では、ダウンタウンでミュージカルに出演。22年4月の110周年『伝説の一日』では、ダウンタウンとして31年ぶりに漫才を披露した劇場でもある。テレビ局関係者は『舞台に立ってお客さんの前で芸を披露するのが芸人の“原点”。そこからの再出発が松本さんにとっても一番良い』と指摘。さらに『松本さんはテレビ復帰に強い思いがあるようだが、スポンサーの反応などハードルがある。劇場なら、お金を払って来ているファンだから問題もない』と語る。22年の公演はオンライン視聴チケットが約10万枚売れる人気だった。思い出のNGKで、原点と言える漫才披露となれば、より注目を集めることになりそうだ」