トランプ氏は当選を決めると、マスク氏に「スターが誕生した。イーロン」と叫び、手放しで感謝の意を表明した。ここでいう「スター」とはマスク氏のことだ。

 マスク氏は11月5日の大統領選の投開票日が明けた6日、フロリダ州で撮影されたトランプ氏の当選を祝う初めての家族集合写真に、しっかりと納まっている

 トランプ氏は選挙戦の中で、マスク氏が提唱する「政府効率化委員会」を政府内に創設することを表明している。連邦政府の特別委員会として発足させる考えで、政府の財政と業績を徹底的に監査し、連邦政府の事業の大幅な見直しを実施する計画だ。 

 トランプ氏は「私は絶対に(マスク氏を)閣僚に入れるだろう」と語っている。特別委員会の委員長を閣僚扱いにして、マスク氏をこのポストに就けることが、最も自然な流れだとみられている。

 ただ、そのぐらいの役職でマスク氏が満足するかは疑問だ。国防総省と米航空宇宙局(NASA)は現在、マスク氏に深く依存している。宇宙への打ち上げとインターネット衛星を管理・運営するスペースXなしでは、両機関は「生きてゆけない」といってもいい。

 2023年のマスク氏が関係する企業と連邦政府機関との契約は、国務省やエネルギー省、農務省などを含め17ある。金額にすると約30億ドル(約4500億円)にのぼる。

 カネの理屈がすべてなら、トランプ新政権はマスク氏の「胸先三寸」だ。マスク氏がどれぐらいトランプ氏に忠誠心があるか、現時点で判断はできず、マスク氏の「常識外れ」で「やんちゃな」行動が、トランプ新政権をかき回すことも考えられる。

 ロバート・ケネディ・ジュニア氏は無所属として今回の大統領選に立候補していたが、8月にトランプ氏支持を表明して大統領選から撤退、トランプ陣営に入った。

 名家・ケネディ家の人々はケネディ氏を支持しなかったが、ワクチン接種を拒否する主張は「第3極」候補として一定の影響力があり、トランプ氏の票固めに大きな役割を果たしたとされている。