大統領選で返り咲きを決めたトランプ前大統領は、早くも閣僚を含む新政権人事の選定をスタートさせた。自身への忠誠心が強い人間で固めるだろうといわれ、主要ポストについては数日中に明らかにされると米国のメディアは伝えている。

 そこで気になるのは、トランプ氏が大統領選勝利の立役者として称えた3人の「おじさん」の去就だ。

 3人とは、電気自動車メーカーのテスラの最高経営責任者(CEO)で、宇宙企業スペースXを立ち上げたイーロン・マスク氏、ロバート・ケネディ元司法長官の息子でジョン・F・ケネディ元大統領のおいであるロバート・ケネディ・ジュニア氏、世界最高峰の総合格闘技UFCの最高経営責任者(CEO)ダナ・ホワイト氏である。

 トランプ氏が「お友だち人事」を好むことは、前回の任期の際に明らかになっている。あっと驚くようなポストが3人に振り分けられる可能性がある。

 マスク氏は元々、政治的には中立だった。2018年7月には当時のツイッターに「はっきり言っておくが、私は保守派ではない。政治的には無所属の穏健派として登録している」と書き込んでいる。

 しかし、今回の大統領選ではトランプ氏を全面的に支持した。

 テスラは民主党が圧倒的に強いカリフォルニア州にあったが、マスク氏はカリフォルニア州の多額の課税に不満を持ち、2021年に本社を共和党が強いテキサス州に移転していた。

 今年7月には、スペースXについてもカリフォルニア州からテキサス州に本社を移転させる考えを明らかにした。その理由となったのは、性的少数者(LGBTQ)である子どものプライバシーを守る法律がカリフォルニア州で成立したことだった。

 マスク氏は同性愛者などの権利問題については保守的な考えを持っており、この法律に強く反発していた。

 今回の大統領選でマスク氏は、トランプ氏支持を表明すると、トランプ氏の政治団体に約7500万ドル(約112億円)をポンと献金した。また、自分の政治団体を通じて有権者に毎日100万ドル(約1億5000万円)を配るキャンペーンを行った。激戦州で有権者登録をした市民を対象にしたキャンペーンで、司法省が「連邦法違反の可能性がある」と指摘するなど物議を醸したが、トランプ氏の激戦州での圧勝を導いたとされる。