川上 いいんですよ。日本と違いますから。
――そうなのですね。そもそも、テレビ討論会は複数回行われる印象です。
川上 通常であれば3回行われます。6月に行われたバイデン氏とのテレビ討論会のあと、彼は撤退したため、本来は8月に行われるものが9月に行われ、大統領候補たち不在の中、3回目が10月に行われたということですね。
――10月10日のロイター通信によると、保守派のFOXニュースが両候補による2回目の討論会を打診していたそうです。ハリス氏は同意したものの、トランプ氏は「再試合はない」と自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿しました。これも世紀の一戦になりそうだったのですが、残念ですね。
川上 9月の討論会はハリス氏の弁が立ったため、メディアの評価ではハリス氏の勝利でした。ただ、このハリス旋風もいざ蓋を開けてみると、大統領選にどれだけ影響するかは不明瞭です。つまり、メディアの評価と実際の有権者の考えは大きく乖離しているのです。
――前出の「海外セレブが支持」と似たところがありますね。そうなると、本当に無党派層への呼びかけが重要になってくると思いますが、そこでもメディアの評価がどれほど響いているのか……。ところで、なぜアメリカのメディアは民主党びいきなのでしょうか?
川上 単純にトランプ氏が嫌いなのでしょう(笑)。というのも、トランプ政権のときはすごかった。彼は既存のあり方をすべてひっくり返して、すべてを自分でテコ入れすることで、ワシントンD.C.のロビイストたち、つまりエリート集団を全員敵に回しました。シンクタンクも(保守系の)ハドソン研究所だけが残り、あとはすべて民主党側に回りました。
――トランプ氏はこれまでの決まり事をすべて覆すため、大統領にさせたくない者たちが、メディア以外にもいるということですね。
川上 そうですね。というのも、彼が大統領にならないことで利権を得ている人たちが多くいるからです。そのような既得権益もそうですが、彼の支持者というのは、白人の中間所得層の中でもかなり所得が少ない者たちで、さらに移民に職を奪われていると感じている。これまで「日の目を浴びてこなかった者たち」のためにも彼は戦っているのです。彼の言葉を借りるなら、ディープステートとの戦いです。