しかし、移民政策に関してもニュース記事などでは、「言及を避けた」というふうに書かれていますが、私が見る限り、彼女は完全に「逃げた」と思っています。
以上のことから、9月のテレビ討論会は、非常にトランプ氏に不利になるように仕組まれていたといえます。そもそも、放映したのはABCテレビですからね。トランプ氏はメディアのことを熟知しているため、ハリス氏から10月に入って再度テレビ討論会を持ちかけられましたが、それを拒否しました。
――その代わり、CBSテレビが、民主党で現ミネソタ州知事のティム・ウォルズ氏と共和党のJ・D・バンス上院議員の両副大統領候補者による討論会を行いました。
川上 トランプ氏がマスコミのほとんどを敵に回して、大統領選挙を戦っているというのは、8年前に彼が当選したときと同じ構図になっています。そして、現地のマスコミが同氏に批判的な報道をすることで、それを鵜吞みにした日本のマスコミも、「ハリス氏が有利」というニュースを流しているわけです。
私は残念ながら最近アメリカに行ってないのですが、現地の友人や、ワシントンD.C.で現地の生の声を聞いてきた知り合いによると、9月下旬の時点では、やはり「トランプのほうが優勢だ」というのです。特に7月にペンシルベニア州で発生した暗殺未遂事件以降、「神に守られたトランプ」として、かなり威勢があるそうです。
――あの修羅場で耳から血を流しながら拳を高く突き上げたトランプ氏は、支持者でなくとも「持っているな!」と感じた人は多かったでしょう。
川上 日本でも先の都知事選における「石丸(伸二)現象」などがありましたが、アメリカのSNSも同じような状況です。そのため、日本の報道機関はトランプ氏に大統領になってほしくないアメリカのメディアの情報を、そのまま受け取って報道しているような気がします。
――1960年のリチャード・ニクソンとジョン・F・ケネディの時代から、アメリカ大統領選でテレビ討論会は重要な役割をもたらしてきました。ただ、トランプ氏は次の出演を拒否したように、本人の希望次第で出なくてもいいのですね。