若者のテレビ離れが叫ばれて久しい昨今、危機感を募らせるテレビ業界では近年、広告ターゲットとして重要視されている概ね13歳から49歳までの個人視聴率である「コア視聴率」を意識した番組作りがなされている。

 そうした中、若手芸人やアイドル、ママタレント、ギャルタレントらとともにバラエティー番組で重宝されているのがユーチューバーやティックトッカーをはじめとするインフルエンサーだ。

 バラエティー番組を手掛ける放送作家はこう語る。

「最近だとあのちゃんや山之内すずさんなんかが代表的な存在です。あざとキャラでブレーク中の元テレビ東京の局アナの森香澄さんに関しても、フリー転身後はアナウンサーとしての活動はほとんどしていなので、もはや女子アナ枠というよりはインフルエンサー枠で番組に起用されている観はありますよね。いずれもテレビの視聴習慣がそれほどない若い世代からも人気があるということで、ギャルタレントたちと同様にバラエティー番組で存在感を放っています」

 バラエティー番組におけるコア視聴率獲得のための貴重な戦力として年々ニーズが高まっているインフルエンサーたちだが、その一方でキャスティングの苦労も多いという。

「インフルエンサーとしての人気や実績がそのままテレビタレントとしての価値に換算されるかというと、そこが微妙なところで。多数のフォロワーや登録者数を持っている人気インフルエンサーでも『SNSやYouTubeチャンネルで見るのは好きだけど、テレビで見たいとは思わない』というファンもいるようですし。そもそも、テレビのバラエティー番組は複数の出演者による“共同作業”の場なのでトーク力はもちろん、場の空気を読む力とかも必要だったりと、そうした現場との相性も重要になってきますからね。それに加えて、若者から支持のあるインフルエンサーの“旬”は意外と短く、常に新たな人材の発掘が認められています」(同放送作家)