「藤川 私は大学時代のご縁で、自民党国会議員の秘書に採用されました。学生時代、政治は安全保障だ、憲法だ、外交だといったことが日々議論されるものだと思っていた。ところが、中に入ってみると、予算の陳情を受け、予算の取り合いが主たる仕事だったんです。(中略)
与党自民党が作ってきたのは、この“陳情民主主義”でした。そんな自民党政治に私は失望したのです」

「藤川 日本の政治が変わるチャンスは、“次の次の選挙”だと思っています。新首相で再度有権者は自民党に期待を寄せる。初めは人気が出るだろうけど、来年の通常国会でさまざまな問題がまたぞろ噴出して、岸田政権同様、内閣支持率は低下していく。来年夏には参院選がありますが、その頃になると国民の意識は『もう自民党ではダメだ』となるのではないでしょうか。
なぜなら、いくら優秀な官僚が揃っていても、この30年間、日本は成長戦略ができなかったからです。
安倍晋三元首相はアベノミクスで3本の矢と言って、『大胆な金融緩和』『機動的な財政出動』『民間投資を促す成長戦略』を掲げました。金融緩和と財政出動はうまくいきましたが、成長戦略はさほどできませんでした」

「藤川 そのような険しい山を乗り越えたら、4年以内に実施される衆院選が“3度目の正直”と呼べる政権交代の時を迎えることができるのではないでしょうか」

「藤川 選挙は毎日が勝負。熱量がある人が強い。有権者の方に熱量を伝えることが大事なんです。
一方で、有権者、国民にも熱量が無くなってきています。政治と国民は表裏一体。このままだとますます政治が劣化していくような危機感を感じます」

 藤川は今年8月、事務所を永田町の議員会館の裏のビルに移したという。かつて自民党の大物議員らが事務所を構えていた「名所」である。

 私も編集者時代にはよく通ったものだった。山田はこう締める。

「政治家を育てる役目を自らに課した『選挙の神様』は、時代のリーダーを育てる“天使”となるのか、それともさらなる混迷を招く議員を永田町に送り込む“悪漢”となるのか」