諦め半分、期待半分でテレビを見続け、開票が発表された時は、思わず声が出た。
石破茂がいいのではない。高市にしてはいけないのだ。ひとまず「よかった」と思った。
総裁選直後は、圧倒的な人気を持っていた小泉進次郎は、彼がひと言喋る度に支持が落ちていった。それでも2位には滑り込めるかと思っていたが、党員票がほとんど入らなかったのは、小泉にとってはショックだっただろう。
10年早いのではなく、それだけの器を持っていないことが、満天下に晒されたのだから、これを取り返すのは容易ではないだろう。
文春では、故・安倍晋三が生前、親しい地元関係者に「高市はだめだ」と語っていたと報じている。
それは前回の総裁選が終わった後のことだという。
安倍は、
「もう(高市は=筆者注)やらない。彼女はもうダメだね。総裁選のとき俺が『ここまではやってあげたけど、後は自分で仲間を作ってしっかりやれ』って言ったのに、全然人付き合いをしてないんだよ」
さらにこう続けたという。
「相変わらず仕事を全部抱える。政調会長(当時)が自宅に持ち帰るから、党職員は誰も分からない。総裁選も俺に『出ないのか?』と言いに来る。『出ない』と言わせて、『じゃ私が出る』という魂胆だったんだろ。もう応援できないね」
その会話から数日後、安倍は高市の地元である奈良県で暗殺されてしまう。
高市の決選投票では、亡くなった安倍が自派閥の連中に、「高市だけはやめておけ」と囁いたのかもしれない。
総裁選ではありえないことだが、白票が5票もあったと報じられている。石破にも高市にも入れたくない議員が5人もいたということになる。
薄氷を踏む思いで総裁になった石破茂だが、反石破勢力はかなりの数になる。
就任早々、解散・総選挙を10月中に行うといい出した。小泉進次郎が早期解散で信を問うといった時には、党首討論などを経て国民に新しい自民党をわかってもらったうえで解散するべきなどといっていたのに、コロッと変わってしまった。