創業101年を迎えた北安醸造は大正12年(1923年)創業。社名の北安(ほくあん)は、大町市周辺をさす北安曇野から由来。ちなみに、南にある安曇野市は南安と呼ばれます。

▲蔵の梁には建築に携わった大工の棟梁の名前が残っていました

101年前に建てられた蔵。2階は麹を冷ます広い空間を確保。そのため柱がなく、冬に数100トンの雪が積もる重い屋根を、天井の梁を三角に組んだトラス工法で支えています。

▲伊藤敬一郎社長の左にあるのが、それぞれ水道水と井戸水を引き入れるホース

洗った酒米に水を吸わせるとき、温度が13度でほぼ一定している井戸水を使い、米が吸水する時間を管理しています。そして仕込み水には水道水の女清水を使用。地下100mから汲み上げている井戸水の硬度は10から11、水道水は5で、数値としてはほぼ差がない超軟水ですが、酒造りには微妙なちがいが出るのだとか。

▲大黒様の笑顔が目印。『北安大國 純米酒 五十九』

蔵の近くに2mを超える大黒様の石像があることにちなんだ『北安大國 純米酒 五十九』は、松川村産のひとごこちを59%まで磨いた純米酒。北安醸造の定番酒として値段もお手頃です。呑み心地のいい甘口で、酸味のバランスもよく、幅のあるコクを感じられます。このほか大黒様が持っている打ち出の小槌をラベルに描いた季節のお酒もおすすめです。

のど越し抜群のビールも超軟水仕込み

2020年にモンドセレクションの最高金賞を受賞した信濃大町の水。「その水でビールを作ったら絶対に美味しいハズ」と考え、2019年7月にオープンした「北アルプスブルワリー」。男清水が引かれる本通り商店街の西側に、醸造所兼ビアレストランがあります。

▲木造のモダンなお店「北アルプスブルワリー」

ヘッドブルワーは東京の名喫茶店「カフェバッハ」で修行し、カフェオーナー兼焙煎士という異色の経歴。長年水にこだわってきたことから、大町の水を活かした呑みやすいビール造りにこだわります。特に注目はインターナショナルビアカップでカテゴリーチャンピオンに輝いた『 Caffee Punch(コーヒーパンチ)』。ビール用にブレンドしたコーヒー豆は、浅煎りにロースト。コーヒーの香りがするビールです。