◆ぶれることなく自らの道を追求し600以上を作曲

 詩のみならず、万葉集や加賀千代女など、短歌や俳句にも曲をつけている。それらはすべて、吉岡さん自身にとって意味のあることだった。

「なぜこの詩に、この短歌に曲をつけたのか。私、全部説明できるんです。今はこういうのが流行っていると言われても迎合しなかったし、ぶれなかった。自分にピンとこないものはやらない。詩人や歌人、その作品に巡り会えたから、私は今、ここにいられるのかもしれませんね」

 自分の意志がぶれることなく、他人に阿(おもね)ることもなく、自らの道を追求してきた吉岡さん。出会った詩人、歌人は30人以上、600以上の作曲作品が彼女の人生の柱となっている。

【吉岡しげ美】

ピアノの弾き語り・作曲家。武蔵野音楽大学、日本女子大学、同大学院修士課程修了。1977年以降、日本の女性詩人の詩に曲をつけてピアノの弾き語りを始め、日本をはじめ海外でもコンサートを開催。1986~88年カリフォルニア州バークレーに住む。七夕伝説発祥の地・中国鎮江市と日中友好七夕コンサートを開催、2010年8月「鎮江市栄誉市民」の称号を授与。作曲・編曲のほか、演劇、ミュージカル、映画などの音楽担当も。大学でも教鞭を執っていた。

<写真・文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio