(本記事は、前野彩氏の著書『本気で家計を変えたいあなたへ<第3版>』、日本経済新聞出版社、2018年8月22日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【『本気で家計を変えたいあなたへ』シリーズ】
(1)保険を上手に見直して「貯蓄を増やす」方法
(2)老後の年金のキホンと離婚時の年金事情
(3)誰もが使える老後のお金の準備方法とは?
(4)リスクを小さくするための3つのポイント
(5)税金はどうやって決まる?キホンをおさらいしよう

※以下、書籍より抜粋

税金のキホン

税金ってどうやって決まるの?

税金は正直なところ、「納める」というよりも「とられる」という感覚の人が多いようです。

でも税金は、毎週のゴミ収集や夜道の電灯に救急車、学校の教育費など、 数えればキリがないほど、わたしたちの暮らしと密接にかかわっているのです。

源泉徴収票を確認しよう

12月にもらう給料は、「普段の月よりも手取額が多くて、ちょっと嬉しかった」 という経験がある会社員の人は多いのではないでしょうか。

毎月の給料から納める所得税は、「この人がこのペースで1年間働いたときの税額はこれぐらいになるだろう」と予想したうえで、「年末に一括で納めるのは大変だから、予想額を12ヶ月で割った金額を毎月天引き(源泉徴収)して、12月になって1年分の給料が決まったら、税額を計算しなおす」という方法を取っています。

年末に調整するから「年末調整」といい、この計算の内訳を書いてあるのが、源泉徴収票です。

これにより、12月分の給料は「税金を多く納めすぎていた人には還付金があり、足りない人は追加で納める」というしくみになっているのです。

本来、税金は、1月1日から12月31日までの所得に対して、自分で確定申告をして納めることになっています。

(画像=書籍より)
ただし、会社員は会社が代わりに計算して納めてくれるため、税金について考えることが少ないのが現状です。
そのため、会社の年末調整や確定申告で控除の申告もれがあると、納める税金は自己責任で高くなってしまいます。使える控除は正しく申告して、賢く納税しましょう。
会社員の税金は、収入(給与収入)から必要経費(給与所得控除)を引き、さらに個人の事情(所得控除)を差し引いた額(課税所得)に対して計算され、その多くは年末調整で手続きします。
ただし、次の5つの控除を利用するためには、確定申告が必要です。
- 医療費控除(家族の医療費が一定金額を超えたとき) - 住宅ローン控除(マイホームを購入したときの1年目) - 寄付金控除(ふるさと納税や一定の寄附をしたとき) - 雑損控除(盗難や災害にあったとき) - 特定支出控除(会社員が自己負担で書籍やスーツ、交際費などを使い、会社が仕事に必要と認めた支出が給与所得控除の半分を超えるとき) 確定申告の期間は、2月16日から3月15日ですが、医療費控除などの還付のときは翌年の1月から行えます(申告を忘れていた場合は、5年前の分までさかのぼれます)。
詳しくは、お住まいの地域を管轄する税務署に確認してください。
なお、東日本大震災の復興のため、2037年までの間は、算出した所得税に2.1%の復興特別所得税が上乗せされます(住宅ローン控除により納める所得税がないときは、復興特別所得税もかかりません)。住民税は、防災対策財源として、2023 年まで1,000円/年を納めます。
所得税を中心にお伝えしましたが、税金には住民税もあります。
住民税は、源泉徴収票や確定申告をもとにして、市区町村が計算して税額を決 め、昨年の所得に応じた住民税額を、今年の6月から納めるしくみになっています。
住民税率は10%です。
自治体によっては、医療費控除後の住民税で保育料を判断するところがあります。また、高校の授業料無償化は、ふるさと納 税後(寄附金控除後)の住民税額で決まります。
控除を申告するひと手間が、税金以外のところに波及することもありますから、税制を正しく知って味方につけましょう。
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

前野彩 (まえの・あや)
ファイナンシャル・プランナー、株式会社Cras代表取締役社長、FPオフィスwill代表。高知大学教育学部卒業。中学・高校の養護教諭から、FPに転身。2008年「FPオフィスwill」、2014年「株式会社Cras」設立。こころとお金がわかるFPとして、子育て家庭や女性からの家計相談が絶えない。全国の講演やWeb連載、テレビでも活躍中。中学・高校のマネー教育講師や大阪成蹊大学の「パーソナル・ファイナンス」非常勤講師も務める。

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