橋本さんは子供の頃、三度の飯よりテレビが好きで、息を吸うようにテレビを見ていたらしい。テレビの中には歌手や俳優、スポーツ選手からアニメまで様々な出演者がいるが、その中でもお笑い芸人が一番カッコ良く見えたそうだ。その理由はテレビの中にいる人たちの中で、お笑い芸人は勢いもパワーも凄く、一番ふざけてバカをやっているのに、アイドルや歌手、俳優さんたちを掌の上で転がしている姿に痺れたからだ。これが本当にその当時に思っていたのなら、とんでもなく分析がしっかりしている子供だ。しかしこれだけ芸人の姿に憧れてはいたものの、本人が芸人になりたいなど一ミリも思っていなかったと。しかしひょんなことから「芸人になりたい」という思いが湧きだした。
橋本さんは中学から大学までエスカレーター式の学校に通っていたのだが、高校3年生の時に英語判定テストで2回連続赤点をとってしまい、3回赤点をとってしまうと大学進学の道が閉ざされるという窮地に立たされてしまったのだ。その時に「万が一ダメだったらお笑い芸人になる?」という逃げ道を思いついてしまったのだ。
しかし3回目のテストには見事合格し、橋本さんは大学へ進学するのだ。このままお笑いとは無縁の生活を送るのかと思いきや、大学3年生で再びあの「お笑い芸人になる?」という感情が湧き出てくるのだ。そのきっかけはエントリーシートだった。自分を客観視したときに、自己PR出来るものが何もない。人見知りで保守的で失敗を恐れる橋本さんは何一つ自らチャレンジしてこなかったのだ。そのせいで何も手にすることが出来なかった。
そのときにふとあの「お笑い芸人になる?」が蘇ってきたのだ。しかしこれもある意味何もない自分という現実から目を背ける為の逃げ道だった。この段階でも橋本さんは「お笑い芸人になりたい」は「俺は面白い人間だ」という自身の表れだと考え、恥ずかしさのあまり芸人を目指していることを誰にも言えなかったそうだ。