倉田 だから、そういうのも楽しいとかめんどくさいとか、そういうものの回線を切ってやれてるから。

叶井 週に2回やらなきゃいけないっていうのが埋め込まれているわけ、オレには。排水口の毛とか取ってないでしょ、オレ取ってるからね。家事をめんどくさいと思ったことはない。

倉田 私、そういう性格が結婚前にわかってたから。結婚するときって、自分が病気になったときのことを想像しませんか? 相手が病気になったらっていうよりも、自分の病気を想像するんです。私がもし病気になって、いろいろ世話してもらわなきゃいけなくなったとしたら、この人はどうするかなって。いろんな解決の仕方があると思うんですよ。でもこの人だったら、ルーティンとしてやるな、と思ったんです。

叶井 そうなんだ。

倉田 そうなの。だから、喜んでもやらないだろうけど、仕方がないから猫のトイレ掃除をやるのと同じ意味で、この人は多分やってくれるだろうなって確信がありました。そういう意味で信用できると思ったの。だから、優しいとかじゃないんですよ。私は今、この人の肩をもんだりしてるし、これからもっと世話しなきゃいけないことが増えるかもしれないけど、ルーティンとは違うものが動機ですよね。相手を楽させてやりたいとか、この人が喜ぶならしてやりたいとか、そういう動機なんですよ。でも、多分この人はそうじゃないことで動ける。そっちのほうが信用できると思ったの。