「死ぬのは怖くない」「この世に未練はまったくない」――。 今年9月『エンドロール! 末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論』(小社刊)を上梓した映画宣伝プロデューサーの叶井俊太郎。 各メディアの取材に対して繰り返した言葉は、仕事人としての叶井を知る者にとっては「らしさ」だったのかもしれない。 では、生活者としての叶井は、いかにしてそのような境地に至ったのか。 当人・叶井俊太郎を横に置いて、妻であるマンガ家・倉田真由美に話を聞いた。
(初出:サイゾー2024年2月号より)

倉田真由美(以下、倉田) 中村うさぎさんから「絶対くらたまの好みだから会わせたい人がいる」って言われて、そのとき私、「あ、叶井俊太郎じゃないかな」って思ったんですよ。会ったことなかったけど、「映画業界にくらたまの好きそうな人がいる」っていう、これだけでわかったんです。

叶井俊太郎(以下、叶井) なんで知ってたの?

倉田 なんとなく。でも当たってましたもんね。自分の勘が当たったっていう驚きは覚えてます。会ってみたいなと思っていたし、うさぎさん以外の共通の知り合いも何人かいて、いろいろ話を聞いていたので。