◆ヒューマンドラマで描く愛の表現方法
映画『コットンテール』では主人公である兼三郎(リリー・フランキー)の息子・慧を演じた。
兼三郎は亡くなった妻の遺言を叶えるために日本からイギリスへ。慧は自身の妻と娘と共に兼三郎に寄り添う。言葉少なでちょっと偏屈で、愛はあるのにそれを伝えるのが下手な父に、怒りと悲しみを感じながらも、息子としての愛情を持っている慧。
慧もさほど言葉が多いわけではない。しかし、沈黙のときの表情が雄弁で、どれだけ父親への愛を抱いているか、ということが伝わってきて胸が痛くなる。
一方で、自身も父親としての表情も見せる。息子であり、父であり、その中で生まれる心情の揺れが実に人間らしい。
映画『羊の木』でも抑えた静かな演技が印象的だったが、この数年でさらに表現の豊かさが加わり、沈黙で魅せてくれる。
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