◆ショートカットにはヘルメットみたいにされた嫌な思い出が…

「そしたらその美容師さんが『すみません、余計なお世話なのですが、おでことフェイスラインがとてもキレイなので思い切ってショートにしてみませんか?春ですし』と無邪気な感じで提案してきたんですよ」

美紀子さんは、高校生の頃に一度ショートにして以来ずっと前髪のあるロングヘアを貫(つらぬ)いてきました。

「その時ヘルメットみたいな髪型にされて、すっかりこりてしまったんです。冒険なんてするとこんな風に怪我するだけなんだから、無難(ぶなん)にしているのが安全だって思ってずっと生きてきました」

いつもだったら、いきなりそんな大胆な提案をしてくる美容師さんに対して「ないな、もう二度と来ない」と思う美紀子さんでしたが…。

美容師
「その美容師さんはやたら熱心で、雑誌やカタログをいっぱい持ってきてくれて、私の不安を取り除くかのように丁寧に説明してくれたんです。それが押し付けがましくなく、本当に私のために言ってくれているのが伝わってきたので、まぁいっかとOKしてみたんですよ」

高校時代のショートのトラウマで、ずっと顔を出すのが嫌だなと思いロングヘアで隠してきましたが「あれから20年近く経って、すっかりおばさんになったんだし、もう私の顔なんて誰も見ていないんだからショートでもなんでもいいか」という、決して前向きではない理由からでしたが、美紀子さんはいつもならしない決断をしました。