というか、それ以前に、法廷画家が替え玉でアリバイ成立というトリック自体に無理があるんですよね。

 替え玉を使うということは、事件前の法廷画家と事件時刻の法廷画家を同一人物だと誤認させることが目的なわけですが、「誰に?」って話なんです。この殺人者たちは替え玉を使うことで、誰に誤認させたかったのか。その「誰」がいないんです。

 結果、偶然その2つの法廷に居合わせたミコさんが一度は誤認することでドラマが展開していったわけですが、この世に、この2つの法廷を見ている人間は、ミコさんしかいないんです。ミコさんがいなかったら、替え玉を用意する意味がなかったということになる。

 で、殺人計画を立てる時点で「決行の当日には両方の法廷にミコさんがいるはずだから、替え玉を用意しよう」とはならない。替え玉を見せる対象がない。つまりは、トリックとして成立してない。

 ドラマそのものとしては、森野がミコさんの小説のただのファンではなく、過去の何らかの事件でつながりがあったことが匂わされたり、その森野がスタンガンで失神させられたりと、盛り上がってきてはいます。

 次回を待ちましょう。

(文=どらまっ子AKIちゃん)