で、魅力的じゃないんだよなぁと思っていたところ、罪を自白した犯人に、殺された弁護士がその事故のあと、交通事故遺族を救済するための基金を立ち上げ、多額の私財を投じていることが語られる。

「それを知ってたら、あなたも殺人を犯すこともなかったのに」

 そう語りかけるミコさんに、法廷画家の男が言うんです。

「知ってましたよ、そんなの。それ、私に関係あります?」

 このセリフの破壊力はなかなかでした。「完全に逆恨みじゃん」と思わせておいて「完全に逆恨みだよ」と犯人に告白させる展開はダイナミックですし、渡部篤郎の演技もすごかった。魅力的じゃないよなと感じさせた設定から魅力的な芝居を引き出したわけです。

 ドラマの評価というものを考えるとき、一視聴者としては単純に「見ていて気持ちいいか、気持ちよくないか」だけだと思うんですよね。今回の殺人における「動機の魅力のなさ」のマイナス分を、「それ、私に関係あります?」というセリフの気持ちよさ、魅力のプラス分が上回ったので、チャラでいいと思います。このへんに関しては、おもしろかった。