さて、前回のドラマでは道長と別れ、都を離れたまひろが、松下洸平さん演じる見習い医師・周明(ヂョウミン)と出会い、早くも「いい感じ」になっていたので驚いた読者も多いでしょう。周明はドラマのオリジナルキャラクターでモデルなどはいないようですが、当初は日本語はわからないという身振りだったのに、いざとなると流暢な日本語が口から飛び出てくるという設定で、まひろならずとも「エッ……」となりました。周明とまひろにはロマンスの気配も濃厚ですけれど、平安時代に外国人と恋愛をした日本人はいるものなのでしょうか。

 史実の紫式部自身にはそういう噂が存在しないのは残念ですが、思い出すだけでもチラホラと有名人にも「該当者」はいるようです。

 背丈が「五尺八寸(約176センチ)」、胸板もきわめて厚く、体重は多い時で201斤(約120キロ)もあったという記録のある平安時代前期の武将・坂上田村麻呂などは、「目は蒼鷹の眸」「髭(髪という説も)は黄金の縷を繋ぐ」ような外見だったそうです(嵯峨天皇が著したとされる『田邑麻呂伝記』)。深いブルーの瞳、髭もしくは頭髪はブロンドという、あまりに東アジア系離れした容貌の坂上田村麻呂は、系図にも母親の記録がなく、日本人の父親と外国人女性の恋愛の末に生まれた子だったのではないか……という想像が止まりません。