◆芸歴30周年を迎え「すごい商売だなと思う」

劇場版「マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿」
――ひとりさんは1993年のデビューから今年で芸歴30周年を迎えました。“劇団ひとり”となってからは来年で25年になります。その間に小説を出され、映画監督としても作品を出されて活躍の場を広げていますが、節目という意味で何か思うことはありますか?

ひとり:長いですよね。そんなにやっているとは思えないくらい、確固たる自信みたいなのを持てないことが、すごい商売だなと思うんですよ。まあ別に僕に限ったことじゃなくて、たぶん師匠クラスの人たちもそうだと思うんですけど、何十年もやってるのに平気でスベったりするじゃないですか。これ、なかなかあんまりない商売だと思うんです。

――要は失敗が多いということ?

ひとり:さすがに30年寿司握っていれば、間違えておにぎり出しちゃうみたいなことはないじゃないですか。でも僕ら平気でやるんすよね。なんならラーメン持ってきて「あれ? 違いましたっけ」ってくらい大きくスベったりする。だから逆に言うと、飽きずに続けられてんだろうなっていう感じはします。

――お笑いは、そんな簡単じゃないってことですね。

ひとり:簡単じゃないですね。当然経験はついてきたし、昔に比べたら多少は上手くできているんだろうけど、まあそれでもツルツルにスベることは多々ありますから。それは別に僕もそうだけど、売れてるって言われてる人たちでさえも、そんな瞬間なんて山ほどあるわけですよ。

だから、どんなにすごいって言われてる人でさえ、ちゃんと数えたら実質5割ぐらいじゃないかなって思うんですよ。惰性で笑っている時はあるけど、ちゃんとカウントしたら5割ぐらいだと思いますよ。難しいから。だから、面白いんだなと思うんですよ。