◆良質な実写映画化により、キャラが立体的に!

もともと大人気の原作でしたが、さらなる女性ファンを生んだのは映画化の功績も大きいでしょう。観客を一瞬にして『キングダム』の世界へ惹きこむ劇場版。俳優たちが演じるどのキャラクターも興味をそそり、戦争シーンだけでなく、人の想いが紡がれていく展開に感動。楊端和を演じた長澤まさみの脚線美と強くクールな戦いぶりにも魅せられて、筆者も一気に本作のファンとなりました。

そして映画を観てから原作漫画を読んだからこそ、一人ひとりのキャラが立体的に感じられるようになり、物語にのめり込むことができました。何より紀元前の中国、そして剣で相手と殺し合う戦争という想像しにくい世界を、リアルにイメージできます。

他の実写化と同様、原作ファンからは反対の声もあったという劇場版『キングダム』ですが、公開以降は「原作ファンも納得!」の声が多く聞かれました。それほどに映画『キングダム』は、日本映画の最高峰にいます。実写化にあたり、スタッフも役者も原作『キングダム』に惚れ込んで、全身全霊をかけて制作された本気度をひしひしと感じる作品です。

原 泰久『キングダム 14(ヤングジャンプコミックス)』集英社
原 泰久『キングダム 14(ヤングジャンプコミックス)』集英社
すでに72巻まで刊行されている原作ですが、映画4作品で描かれるのはわずか16巻分。丁寧に、丁寧にその物語を紡いでいます。また、山﨑賢人・吉沢亮の若手実力派両名に加え、大沢たかお・小栗旬・玉木宏など女性人気の高い俳優陣が、『キングダム』の世界へと多くの女性を誘い、そのまま引き込んでくれたことも事実としてあるでしょう。