◆逆境に立たされた少年たちの成長を目の当たりに

舞台は紀元前の中国・秦。天下の大将軍になることを夢見る主人公・信(山﨑賢人)と、中華統一を目指す若き王でのちの始皇帝・嬴政(吉沢亮)が、敵国や政敵と戦いながら邁進していく物語です。もちろん敵国と戦争する中でもの凄い数の人間が殺し合いますが、物語の主軸は戦のみにあらず。ふたりの少年が、周囲の人たちに多くの影響を受けながら、切磋琢磨していく姿こそが本筋だと筆者は捉えています。

戦争孤児で下僕だった信。そしてもう一人の主人公・政も、王でありながら生まれながらにして敵国の人質という過酷な運命を背負い、異母弟や政敵に王の座を奪われそうになるなど、逆境に立たされています。しかし、信は持ち前の真っ直ぐな前向きさで、政は王としての自覚とカリスマ性、そして中華統一への確固たる意志をもって、それぞれの道を切り拓いていくのです。

そんなふたりが着々と力をつけて、戦闘能力だけでなく人間としても強く逞しくなっていく姿は、とても眩しい。少年期から描かれているからこそ――そこが女性の母性をくすぐるのか――ふたりの成長を目の当たりにする度、まさに感無量なのです。