■八つ当たられまくる弥生さん
一方、水子供養の帰りに「海ちゃんの母親になる」宣言をした弥生さん。夏くんと一緒に海ちゃんの家を訪れますが、こちらも話は単純ではありません。海ちゃんのママである水季(古川琴音)が勤めていた図書館では元同僚のナーバス男子(池松壮亮)に言葉のナイフで刺されて自身の厚かましさを自覚させられ、ほうほうのていで海ちゃんを送り届けるところまではがんばりましたが、おばあちゃんに「楽しかったです」なんて口を滑らせてしまったものだから、もう大変。
「あなた、子ども産んだことないでしょ」
第1話で夏くんを詰めたときと同じ、大竹しのぶがビー玉のような真っ黒い瞳で弥生さんを糾弾します。圧倒的敗北。グロッキーとなった弥生さんは、おぼつかない足取りで帰京するしかありません。夏くんと海ちゃんと3人で手をつないで歩いて、世界中に自慢したいくらい楽しかったのに。
その後、ひとりで海ちゃんに会いに行くという夏くんに、自分の中絶の過去を告白することを決意する弥生さん。まあ覚悟を見せるってことだと思うんですが、それだって別に海ちゃんやおばあちゃんには関係ないからな。関係ないけど、弥生さんは弥生さんなりに隙間を埋めていくしかないからな。
今回、弥生さんは元同僚やおばあちゃんの八つ当たりを一手に引き受けるという損な役回りとなってしまいました。弥生さんにとって、夏くんやおばあちゃんたちに中絶の過去を告白することは、傷んだ腹を裂いて見せることです。それは弥生さんにとって、経験したことのない痛みを伴うはずだ。しかも、それで何かがどうにかなるとも思えない。きっとさらなる地獄が待っている。怖い話なんです。