弥生さんには「母親になる」という決意を再確認するし、海ちゃんには「なんで元気なの?」って聞いちゃうし、会社の上司が妻の出産に立ち会うと聞けば「立ち会って何すんの? なんで立ち会うの?」と聞いちゃう。そして、その質問に対して「無責任だと思われたくないから」「心配だから」という2つの答えを頂戴すると、しっかり2つとも胸に仕舞う。素直ないい子なんだよな、ホントに。
素直ないい子だから、海ちゃんにも聞くわけです。もうとっくにパパをやるつもりでいろいろ飲み込んでるのに、聞いちゃう。
「パパを始めてほしいってこと? パパになってほしいってこと?」
「ううん、夏くん、パパやらなくていいよ」
実際に鳩が豆鉄砲を食った場面を見たことはないですが、夏くん、鳩豆顔で「えっ……」と絶句するしかありません。
「でも、いなくならないで」
混乱に、陥れていく。すべてが夏くんのひとりよがりだった。物事は、そんな単純なものじゃなかった。夏くんにとっては、すべてが未体験の衝撃でしょう。怖い話だ。