◆主人公と被害生徒を阻む壁

主人公・莉生も私生活を投げ売って、生徒を守るために走った。それによってはじめて、小さな声を聞き取ることができた。

しかし「生徒が被害を受けた」ことを信じてもらうには、まだいくつもの壁があった。“厄介事(やっかいごと)”をきらう学校組織、教師にも親にも刷り込まれているレイプ神話……。

莉生と同僚教師、被害に遭った生徒たちがその壁をどう崩していくのか。『言えないことをしたのは誰?』を、フィクションの世界の出来事としてではなく、「現実に起きていること」として見守ってほしい。

<取材・構成/三浦ゆえ>

【三浦ゆえ】

編集者&ライター。出版社勤務を経て、独立。女性の性と生をテーマに取材、執筆を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(宋美玄著、ブックマン社)シリーズをはじめ、『50歳からの性教育』(村瀬幸浩ら著、河出書房新社)、『リエゾン-こどものこころ診療所- 凸凹のためのおとなのこころがまえ』(三木崇弘著、講談社)、『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)などの編集協力を担当。著書に『となりのセックス』(主婦の友社)、『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。