◆教育改革と学校内性暴力

作中でグルーミングされるのは、13~14歳の女子生徒。背伸びして大人ぶっている生徒もいるが、子どもである。大人からすれば何を求めているのか、何を期待しているのか、逆に何が弱みなのかが、手に取るようにわかるということだろう。

そうして子どもが、教師との行為を「自分から望んでした」と思い込まされる。

さいき「加えて、日本では『上の言うことには絶対服従』という空気があります。企業でもそうだと思いますが、学校現場では、2006年にはじまった教育改革で“ゼロトレランス教育”が導入されたことが大きいでしょう。ゼロトレランスとは“寛容ゼロ”という意味で、規律に違反する生徒がいれば厳しい処罰措置をとるという方針……要は、締め付けです。そんななかで、生徒が個人の意見を表明しやすいわけがないですよね」

性暴力とは、同意のない性的行為のすべてを指す。示された「NO」が全面的に尊重されれば、性暴力は発生しない。しかし、ただでさえ教師と生徒という絶対的な上下関係があるうえに、締め付け教育が行われている学校で、教師に「NO」をはっきり示せる生徒はどれだけいるだろう。