◆生徒をグルーミングするのは簡単?

さらにむずかしいのは、生徒が「自分は性暴力に遭ったのだ」と認識できずにいるケースだ。子どもの性暴力は、被害認識を持ちにくい。理由としてまず、日本では性教育が遅れていて子どもに知識がないことが挙げられるが、加えて、大人から子どもへの性暴力には「グルーミング」がともなうことも忘れてはならない。

さいきまこインタビュー前篇
グルーミングとは、「手なづけ」と訳されることが多く、大人が性的接触を目的に、親切や好意を示しながら子どもに近づき信頼や依存を高めることであり、一種のマインドコントロールだといわれる。

本作でも加害教師は、複数の生徒にグルーミングを仕掛けるが、生徒の“個性”にあわせてその手法を変えている。

さいき「私がストーリーを考えるなかで、加害教師の立場に立って、その生徒たちのことを想像してみたんです。性格も生活環境も交友関係もバラバラの少女たちを、グルーミングするにはどうすれば? と。そしたら意外なことに、スラスラと浮かんできたんですよ。この子にはこんな言葉をかければいい、こっちの子にはこんな態度を……といった具合に」