「存在しなかったほうが都合がいい」のに「尊い」という2つのベクトルを内包してしまった海ちゃんという存在を目の前にして、夏くんも弥生さんも「そうしたい」と「そうするしかないじゃん」という2つの思いを抱えたまま海ちゃんと接していくことになる。

 自ら選んだ行動であると同時に、呪いに支配されて強制された行動でもある。突き動かされていく自分たちを「愛だし血縁だし尊いし」と正当化して呪いをねじ伏せるのか、やはり加速度的に激変していく日常に引き裂かれるのか。

 わたしは結婚もしてないし子どももいないし堕ろさせたこともないので「ウヒョー、怖えぇー」なんてスリリングなホラーとして楽しんでますが、経験者の方々にはどう見えてるんでしょうね。もっと深刻なんだろうな、きっといろいろ。

(文=どらまっ子AKIちゃん)