■呼び覚まされた呪いに支配されていく

 夏くんが弥生さんに言った「殺したと思ってた」という言葉は、そのまま弥生さんには「おまえは殺したけどな」と聞こえたはずです。

 このドラマの恐ろしいところは、子どもという存在を徹底的に「快楽の代償」として描いているところです。いや、「快楽」は言い過ぎだけど、「恋人との幸せな時間の代償」として、「存在しなかったほうが都合のいいもの」として描いている。

 その一方でめちゃくちゃ魅力的な子役にめちゃくちゃ魅力的なセリフを与え、めちゃくちゃ魅力的な芝居をさせることで、「尊くて美しいもの」としても描いている。

 海ちゃんの存在は、夏くんにとっては平穏な日々をひっくり返す呪いであったし、弥生さんにとっても過去に子どもを「殺した」という後悔を呼び覚ましてしまう呪いでした。