定子の死後、そのサロンは自然解消してしまいましたが、それでも彰子のサロンに人気が集まることはなく、道長はついに女房の顔ぶれに「テコ入れ」を行わざるを得なくなり、その時に追加された新メンバーの一人が紫式部(まひろ、吉高由里子さん)だったわけですね。

 まぁ、パッとしないアイドルグループの新メンバー加入と同じような舞台裏があったのは面白いですし、こういうあたりの話はドラマでも詳しくやるでしょうから、また折に触れて解説したいと思います。しかし、紫式部が彰子の性格を「あまりにものづつみさせ給へる御心(『紫式部日記』)」――本当に物怖じし過ぎるご気性などと称し、自分が加入する前の彰子のサロンのことも「地味でつまらない」と、公卿たちが陰口を叩いていたと書き残しているのは興味深い事実です。道長の日記に紫式部が登場することはないのですが、紫式部は自分の「パトロン」である道長に対し、自分が書いた作品はすべて確認させていたはずです。そして、その中で道長の愛娘の彰子や、道長や倫子による入魂の人選だったはずの初期メンバーの女房たちの批判を堂々としてのけるとは、紫式部がなかなかに強気な女であったことがうかがえます。

 前回のドラマの終わりでは、無神経すぎる夫・宣孝とさっそく関係がこじれ、復縁のために石山寺詣でに出かけたまひろが、道長との奇跡の再会(何度目?)を遂げ、次回予告ではさっそく熱い抱擁を交わしていました。この再会をきっかけとして、道長は「妾」としてではなく、彰子のもとに「女房」としてまひろを置き、倫子から彼女をカモフラージュしようとする展開が待っているのでしょうか。まぁ、ドラマのまひろであれば、史実の紫式部のようなズケズケとした物言いができるとは思えないのですが、今後に期待しましょう。

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