◆子どもは誰のもの? 人の心は契約では縛れない

 リキはひどいつわりに苦しむ。子どもは男女の双子だった。悠子は「産めなかった自分」がつらくてたまらない。自分が蚊帳の外に置かれているようで、孤独感に苛まれる。そしてついに秘密を抱えきれず、リキの子が他の男の子である可能性もあると夫に告げる。

 契約違反だといきり立つ基。だが、人の心は契約では縛れない。

「子どもって誰のものなんでしょう」

 妻からリキの素行を伝え聞いた基がリキに投げかけた言葉だ。リキはそれには答えない。堕ろせるのは21週の6日目までですからと淡々と答える。