◆「カウンセリングあるある」に共感!

――ハナと医師のやり取りで、印象に残ったことはありますか?

あらい:まず、この先生はすごくいい先生ですね!(笑)こういう先生ばかりではないのが現実だけど、「こんな先生もいるんだ」と望みが持てると思います。やりとり全体を通して、著者の生野先生の「自分のことを見失わないでね」というメッセージが込められていると感じました。また、作中の先生が、ハナが自分で気づけるように「こういう考えもあるよ」と少しずつ助言してくれる様子は、読むだけで気持ちが落ち着く人がいると思います。

――ハナについはいかがでしょうか。

あらい:ハナが先生に少し突っかかる場面など、「あるある!」と思いました。ただ実際には、カウンセリングで先生に言われたことに対して「それってどういう意味?」と思ったとしても口に出せなかったりするんです。でも、ハナは思ったことをちゃんと先生に言ってくれるので、自分にはできないことを疑似体験できるし、「カウンセリングでは本当に何を話してもいいんだよ」という見本になっていると思います。

――あらいさん自身も、そういうことがあったのでしょうか。

あらい:治療に来ているはずなのに、お医者さんが求めていそうな返答をしてしまったり、話したいことがあったはずなのに、いつもの癖で「大丈夫っす!」と元気なふりをしてしまったり……。病院に行くときは気合が入っているので、つい大丈夫だと思ってしまうんですよね。

患者側としては、ハナみたいに最初から心を裸にしてカウンセリングを受けられたらいいなと思います。そこに少し付け足すとしたら、話したくても体が固まったり涙が溢れたりで声を出せなくなることがあるので、話したいことをメモしておいたり、先生に手紙を書いていって「これだけ読んでください」と渡してもいいと思います。

また、希望の治療法があれば積極的に伝えることが大切です。自分の体・心に合うものを探す旅のような気持ちでいられればベストですね。