■結局、あの「桜の写真」が正体でした

 このドラマは、プロデューサーが「366日」という曲のMVを見て感動したことから作った作品だそうです。

 第3話に、印象的だったシーンがあります。ハルトがプロデュースする予定だったイタリア料理屋の壁に飾るアート作品についてのエピソードです。

 ハルトはそのイタリア料理屋の壁に、自分の高校の友達が撮影した、高校に植えてあった桜の木の写真を飾るつもりでした。それはハルトや高校の仲間たちにとっては大切な思い出の写真でした。

 でも、イタリア料理屋の世界観にはまるで合わないし、そこにご飯を食べにくるお客さんにも一切関係がない。当の写真にしてもシンプルな日の丸構図で、芸術作品として見るべき点があるわけでもない。プロデューサーであるハルトの個人的な感傷をゴリ押ししているだけで、レストラン作りにおいてまったくクリエイティブではない。そんなハルトのクリエイターとしての未熟さを、ドラマは美談として扱っている。