終始、嫌なドラマだったなぁと思います。2008年に発表されたHYの名曲「366日」に今さら触発された作り手が、その「エモ」をエゴにまみれた映像でお送りした本作。最終回ではヒロインに「それでもいい」と歌詞中のセリフを言わせて無理やりハッピーエンドに仕立て上げました。

 第1話で登場人物を橋から突き落として記憶を亡くさせ、最終回でなんの理由もなく記憶を戻す。創作の原点が「エモ」しかなく、語るべき物語を抱かずに生まれたドラマは、人物たちを変化させたり成長させたりすることができません。それでも放送枠を勝ち取ってしまったからには何かを言わなきゃいけないから、物語をマイナスに振ってゼロに戻すことでプラスを装う。ストレスを与えてそれを外すことでハッピーを装う。浅はかな創作行為だと思いますよ。

 振り返りましょう。