◆被害者に誹謗中傷が起こるのは?

性的少数者に向けられた差別発言に対する抗議活動に参加するラビアナさん
性的少数者に向けられた差別発言に対する抗議活動に参加するラビアナさん
――AVで行われていることを鵜呑みにすることで、相手の「NO」を「YES」であると勘違いしてしまうケースもありますよね。最近よく聞く同意のない性行為にもつながる話だと思います。

私が感じるのは、性被害や同意のない性行為についての理解が不十分なのに、加害者にならないための具体的な方法が教えられていないことです。メディアでは性被害がスクープとして取り上げられるだけで終わってしまう印象があります。

旧ジャニーズ事務所や松本人志氏の件も含め、ニュースが引き起こす議論は大切ですが、性被害はどうすれば防げるのか、発生時にどうすればいいかなど、性教育に関する情報も同時に提供することが大切だと思います。

そして、被害者が直面する心の傷や相談する場所がないことなどについても取り上げ、人々が安心して相談できる環境やサポートを整えるような報道を求めています。

――ニュースで性被害が取り上げられた際、SNSを中心に「ホテルに行ったのが悪い」「何十年も前のことをなぜ今さら」など被害者を批判するような声が目立つのはなぜですか?

多くの人がセカンドレイプ(性犯罪・性暴力の被害者に対する二次的な被害)やハラスメントについて十分に理解していない現状があるからだと感じます。企業の研修においても時代の変化に対応する必要がある一方で、「こういう時代だから仕方なくやってる」というマインドの方や、それに反対する方もいるようです。

特にハラスメント研修に関しては、昔は行われなくてもよかったと感じていた人たちが、今なぜ必要なのか、なぜ状況が変わっているのかの理解が不足しているように感じます。