3. 組合健康保険の被保険者親族の扶養
日本の医療保険は皆保険制度が敷かれており、全ての居住者がなんらかの健康保険に加入することとなっています。
代表的な健康保険として、企業の従業員などが加入する組合健康保険と、自営業者などが加入する国民健康保険があります。
組合健康保険には扶養の制度があり、被保険者の収入が一定額以下の親族は、保険料の負担なしで健康保険を利用できるメリットがあります。
被保険者親族の扶養の要件
所属している健康保険の組合によって異なる場合がありますが、健康保険の主契約者と同居の場合は年収130万円以上、別居の場合は仕送りの額以上の収入を得てしまうと扶養から外れてしまうことが多いようです。
健康保険の扶養から外れてしまった親族は、独自に国民健康保険に加入することになります。
国民健康保険は自治体によって運営されているため、居住地によって保険料が異なりますが、年収130万円で毎月1万円の保険料負担が生じる場合もあります。負担額が大きいため注意が必要です。
このように扶養の制度は、所得税・住民税における扶養と組合健康保険などによる医療保険の扶養と、2つの扶養制度があります。名前は似ていますが仕組みは大きく異なるので、混同しないよう注意しましょう。
4. 国民年金の学生納付特例制度
日本の年金制度は階層性が用いられており、国民年金はその1階部分に該当する最も基礎的な年金制度です。国民年金の保険料は、所得に関わらず一定となっており、20歳から60歳までの40年間にわたって保険料を納付することができます
20歳を迎えると学生であっても国民年金に加入し、月額1万6,540円(2020年度)の年金保険料を負担する必要があります。
しかし、本来は収入を得ていない学生が年金保険料を負担することは難しい場合もあるため、学生のうちは、「学生納付特例制度」を利用して年金保険料の納付を免除されることが可能です。
年金制度の代表的な給付である、65歳からの「老齢給付」を受けるには、10年以上国民年金の保険料を納め続け、資格期間を満たす必要があります。
また、納付期間は給付額にも影響を与え、40年間にわたって保険料を納付し続けることで、最大で年間約78万円の給付を受けることができます。
学生納付特例制度を用いることで、年金保険料の免除と給付決定に必要な10年間の資格期間へ算入されるというメリットを受けることができます。
学生納付特例制度は住民登録をしてある自治体の役場や年金事務所のほか、学校内でも申請を行うことができます。利用には所得基準があり、学生本人の年間所得が基本的に118万円(給与収入であれば180万円)を超えてしまうと利用することができません。
もし免除の申請を行わず、年金保険料を未納としてしまうと、資格期間を満たすまでに時間がかかってしまいます。
稼ぎすぎによる負担増に注意
大学生の期間は、収入を稼ぐ力が以前よりも高まりますが、学生であっても収入が一定額を超えてしまうと納税や医療・年金といった社会保険の負担が段階的に生じていきます。また学生本人だけでなく、世帯主など扶養者にも負担増の影響が及ぶ可能性があります。
一生懸命働いて収入を増やしても、同時に多くの負担が生じてしまい、手元にあまり残らないといった事態を招いてしまわないよう、各種優遇制度の適用状態などを総合的に判断しながら、稼ぐ金額を調整するようにしましょう。
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