◆社会で片隅に追いやられ、生き辛い毎日を送る4人
この物語には、もう1組、重要な人物たちがいる。
良子と同じく、惑星難民X候補で、台湾から留学に来ているレン(黃姵嘉〈ファン・ペイチャ〉)と、その恋人でバンドをやっている拓真(野村周平)の物語が、笹と良子の物語と平行して進行する。
レンは、良子と同じコンビニと、拓真と同じ居酒屋の掛け持ちバイトをしながら、日本語を勉強している。
でもなかなか日本語が上達せず、日本人とのコミュニケーションがうまくいかない。
惑星難民Xと地球人の関わりのような宇宙規模の問題のみならず、地球の中でさえ、国や民族、文化の違いを埋めることもままならない。
さらに、同じ日本人同士でも、生活環境や地位やお金を持っているかいないかなどの違いで、互いの関わりは分断される。
編集部で上司に厳しくされたり、家庭の事情に悩んだりしている笹、夢はあってもうまくいかないレン、自己肯定感の低い良子……彼らは本人たちの問題ではなく、いまの社会で片隅に追いやられ、生き辛い毎日を送っている。
笹と良子はお互いを励ましあい、レンには拓真が味方になってくれ、それぞれに救いの光が灯るが……。