で、ハルトがその日にキッチンカーの仕事を入れてきたことでアスカは自分の誕生日が忘れられていることを知るわけですが、演奏会もキッチンカーも昼なんですよね。キッチンカーも18時で終わるとチラシに書いてある。

 晩飯食えよ、一緒に。20時に予約しろ。

 このへん、すごく気持ち悪かったんです。なんで晩飯を食う約束をしないのかと思ってたら、アスカは偶然会った同級生のカズキ(綱啓永)とお昼ごはんにカレー弁当を食べてたんですね。

 そのカズキが夜、家に帰って同棲してる彼女に「なんか食べるよね?」と聞かれて、「食べてきた」と答えるんです。

 いや、晩飯食えって。なんで、どいつもこいつも晩飯を食わないんだ。昼飯と晩飯の概念がないのか、君たちには。

 ちょっと前にテレビで見た、大きな倉庫で動き回るAIロボットたちを思い出したんです。彼らは昼も夜もなく、あらかじめインプットされたプログラムの指示で動き回っています。ロボットが棚の前で待っていて、人間がそこに行って棚から必要な商品をロボットに乗せる。すると、ロボットが搬出口まで自動で運んでくれる。人の作業を軽減する素晴らしいシステムなんですが、ここでは人のほうが不規則な動きをするんですね。商品を間違えたり、途中でトイレに行ったり、急病で倒れたりする。そうした人の不規則な動きに対して、ロボットたちがAIで判断して人に最適な動きを指示するわけです。そうして、決められた目的である「出荷」に至っていく。