■昼と夜の概念がないAI世界

 ハルトが誕生日を覚えていないことにアスカが気づくきっかけは、まさしく「内部と外部の接点が生じるときに乱暴になる」という場面でした。

 アスカが勤める音楽教室の男性会員の彼女という、要するにあんまりよく知らない女性がいます。その女性がアスカの目の前に現れ、「自分たちの演奏会に来い」と言う。アスカが、その日が自分の誕生日であることを告げると、「誕生日プレゼントです」とか言って、チケットを2枚押し付けてくる。

 すごく無神経な行為です。

 相手が誕生日だとわかったら、「あ、その日は予定ありますよね」と気を遣うのが大人の態度でしょう。なんでよく知らない相手の誕生日の予定を決定する権利が自分にあると思えるんだ。

 しかも、こう言っちゃなんだけど別に大した演奏会でもないでしょう。例えばブルーノ・マーズが目の前に現れて「そうか、この日は君の誕生日なのか。じゃあ東京ドームの貴賓席を用意するからステディと一緒に来たらいいよ」とか言い出すという、それくらいのレベルでようやく成立するくらいの暴挙ですよ。こういうところが「接点が乱暴」だと言っている。