■誕生日忘れられ話

 今回は、記憶を失った恋人・ハルト(眞栄田郷敦)に自分の誕生日を忘れられたアスカ(広瀬アリス)がショックを受けるというお話でした。

 事故による高次脳機能障害を負ったハルトと「何があっても一緒にいる」と誓ったアスカでしたが、ハルトが自分の誕生日に休日出勤を入れてきたことに落胆。真顔で目をそらしたりしています。

 このドラマに登場する5人の同級生たちの感情はひたすらにテンプレートですから、恋人に誕生日を忘れられることは絶対に許せません。アスカは、ハルトが過去の記憶をなくし、家族や自分の存在すら忘れてしまっていたことは容易に受け入れたのに、誕生日を忘れられたことは受け入れられない。はっきり申し上げて、そんな覚悟もなかったんかい、という話です。

 記憶をなくした恋人と、元の関係を築き直したい。そう思うなら、まずは丁寧な自己紹介をしておきなさいよと思うんですよ。何年何月何日に生まれて、私はあなたと高校で出会って、10年ぶりに東京で再会して……そういう話をまったくしてこなかったということです。誕生日を忘れられていたことに気づいたときのアスカの被害者ヅラですね、広瀬アリスの適切な芝居もあって、すごく暴力的に見えました。

 記憶をなくしたハルトに対して「私は彼女です」と宣言し、面倒を見ると決めたのはアスカなのに「そっか、誕生日、覚えてないんだ……」じゃないんだよ。覚えてるわけないだろ。自分の誕生日も、ハルトの誕生日も、ほかの同級生たちの誕生日も、その他いろいろも、あんたが教えていくしかないんだよ。

 アスカは、そこまで思いが及ばないのです。なぜなら、テンプレートの感情しか持ち合わせてないからね。