冒頭のギター・シンセサイザー・コーラスの絡みに導かれ、抑制の効いた1番の終わりに重厚なバンドサウンドが花ひらく。2番以降のサビでは膨大な音数のトラックが煌めき、ギターソロでは春畑のキャリア随一とも呼びたい駆け上がるような名演を聴かせ、最後のサビでは転調によってドラマチックな感動を呼び覚ましながら、前田の歌唱力を最大限魅力的に提示してくれる。もちろん「シーズン・イン・ザ・サン」「あー夏休み」など、実際のセールス以上に彼らの代表曲としての地位を確立した楽曲は多数存在するが、この「夏を抱きしめて」は当時のTUBEのユニークな魅力が最上級のクオリティで結実しており、この楽曲が今もなお彼らの代表曲として挙がることを心から嬉しく思う。

♦︎
本特集のきっかけのひとつとなった、TUBEのシティポップ寄りの楽曲をまとめたSpotifyプレイリストがこちら。ぜひ、彼らの新たな魅力の発見にご活用いただきたい。

B’z、DEEN、ZARD、Mr.Children、宇多田ヒカル、小室哲哉、中森明菜、久保田利伸、井上陽水、Perfume、RADWIMPS、矢沢永吉、安全地帯、GLAY、SOUL’d OUT、Dragon Ash、吉田拓郎など……本連載の過去記事はコチラからどうぞ